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日本の旬 魚のお話(夏の魚-11) | |
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真鯵(まあじ) | |
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旬 | |
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古来から重用され、平安時代の『延喜式(エンギシキ)』にも神饌や行事食に用いられた記述がある。江戸時代の『本朝食鑑』では、多くの魚の中でもアジに関してはその味の良さをベタほめしている。しかし、この時代では鮮度の良いものは手に入らず、タタキのように刺身で食べるのは漁師の特権だったのだろう。 一年を通じて出回っているが、最も美味になるのが産卵前の初夏から夏にかけてである。旬のアジ刺は「タイ以上」ともいわれる。 梅雨上る 入江真鯵の 釣れはじむ 追田 健路 |
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命名 | |
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アジというのは味を連想しやすいが、古語で「群集するもの」という意があり、そこからの呼名。ムロアジもムレアジが転じて呼ばれたようだが、他に、ムロアジの産地は古くから播州室津付近が有名だったから室アジと呼ばれたとの説もある。 しかし、新井白石はその著書『東雅』に、「アジとは味なり、その美なるをいう」とし、『日本古語大辞典』にも「美味な魚の名称とされた」とある。 鯵という漢字は、とくに3月頃から味が良くなるということから、魚扁に参という字が充てられたという。 英名 Japanese horse mackerel Japanese jack mackerel |
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スズキ目アジ科マアジ属 | |
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アジ科の仲間は下記の4属に分類される。日本には50種程度いる。 マアジ属・・・・・マアジ ムロアジ属‥・ムロアジ・マルアジ・クサヤモロ・モロ シマアジ属‥・シマアジ ブリ属・・・・・・・ブリ・カンパチ・ヒラマサ 丸アジ・・・・・マアジより丸細く、ゼイゴが尾ビレ側から3分の1しかない。また、背ビレと尾ビレの間に小さな離れ ビレがあるのが特長。紀伊半島から南に分布するが、一部遠州灘まで回遊する時もある。漁期は 明石では6〜8月。7月から産卵が始まるので、その寸前が特に美味しい。 ムロアジ・・・日本近海では秋が旬。 |
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形態 | |
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側線の全長に、別名ゼイゴと言う硬い棘条(キョクジョウ)の綾鱗が並び、アジ科特有のものである。 体色は、魚屋で見る時は青紺色だが、生きている時は褐色に近い。体長は50cmにも達するが、店頭に並ぶものは20cm足らずの小魚。 |
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分布 | |
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世界の温帯及び亜熱帯に約140種が生息しており、そのうち日本には23属53種が分布する。水深200m以浅の下層に生息している。 |
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産卵 | |
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九州方面で早く、1〜2月の五島列島や対馬、3〜4月の高知沖から順に、4〜5月に島根や石川、5〜6月に瀬戸内や房総沖、6〜7月に能登半島へと進む。抱卵数は2〜18万粒で、卵は浮性卵。 |
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成長 | |
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越前クラゲとは共生関係にあるらしく、クラゲに集まるプランクトンを食べて成長する。その為、クラゲの生息数が多いとアジの生息数も増加する関係にある。 マアジは季節と大きさによって色々な食べ方があるところから、大きさにより俗名がある。 アジ仔・ジンダコ(5cm以下) 豆アジ・ジンダ・ゼンゴアジ(5〜13cm) 小アジ(13〜20cm) 中アジ(20〜30cm) 大アジ・ノグクロ(30cm以上) |
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瀬付きアジ | |
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瀬の周辺はプランクトンが豊富で、湾内や瀬に定着している一群もあり、これらは瀬付きアジと呼ばれる。このアジは体高が大きくふくらみがある上、頭部もやや丸みを帯びており、味も身が締まっていて美味。 年間を通して水揚げ量が多いのは山口県の萩市であり、また豊後水道の「関鯵」も有名だ。 |
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沖鯵 | |
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餌となるオキアミなどの動物プランクトンを追って外洋を回遊するアジで、主な漁場は東シナ海である。 |
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身にクセなく美味 | |
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同じ青物魚のイワシやサンマに比べると、エキス中の窒素量や肉の中の脂肪量は少ないが、旨味の決め手となる成分であるイノシン酸はタイやヒラメより多いことから、旨味にコクがある。 |
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身崩れ・身離れの悪さ | |
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煮付けると身崩れしやすく、焼くと身離れが悪いのは、結合組織の中に含むコラーゲンが少ない為である。 加熱するとコラ-ゲンは柔らかくなるので、その量が多い魚は身離れが良く、また身崩れしにくい。 |
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一夜干し | |
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「アジはタタキより干物に限る」と言う人もいるくらい美味しいものである。その理由は、開いたアジの身に軽く塩を振って干しておく数時間の間に、身の中のタンパク質、特に筋原繊維タンパク質が、複雑な構造の糸状粒子で粘性の高いものに変化する為である。粘性の出来た身を焼くと、弾力性がでて身離れも良く美味しい。しかし、冷凍やけすると、せっかく作った弾力性のある化学結合が壊れてしまい、身がバサバサとなる。 |
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ひゅうがめし | |
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愛媛県明浜町の郷土料理で、釣りたてのアジの刺身を醤油で味付けした汁に浸し、薬味のネギやユズを浮かせ、その上に生卵を流し込み、炊きたての熱い飯にかけて食べる家庭料理。 |
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俗諺 | |
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夏のアジで痩せっぽ・・・・痩せた人をアジにたとえているが、夏になると小あじが出回るので、昔の人はおそらくこれを 痩せたアジと見た為であろう。 背越しのアジ・・・・・・・・・・腹の空っぽな人の例え。「背越し」というのは、アジなど小魚の頭やハラワタ、ヒレを取り除き、 胴をぶつ切りにした調理法。 苗代アジ ・・・・・・・・・・・・・苗代の頃に獲れるアジで、この季節のものは脂がのって美味。 |
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くさや | |
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伊豆七島では塩が江戸幕府への上納品であった。島人にとって大変貴重なもので、やたら勝手には使えない。 そこで魚を漬けた塩を一回きりで捨てず、貴重な塩を前の汁に足しながら塩水漬けとしたのがクサヤである。 この汁はアミノ酸も多く、クサヤ菌という細菌がいる。普通、美味しい食べ物は酸性のものが多いが、アルカリ性の液に漬けて美味しくなるというのが不思議な魚の加工法である。 八丈で 干されて鯵の 名が変わり 曳 船 |
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食べ方 | |
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アジの季節ともなれば、「タタキ」を食べないと気のすまない人もいるだろう。 獲れたての、まだ死後硬直になる前で旨味も出て来てない柔らかいアジの身を、漁師が船の上でネギやショウガと一緒にたたいて作った料理がタタキのルーツである。なんとか旨味を作り出して食べようとしたもののようだ。 アジは赤身魚に分類されるが、白身魚の特徴であるプリプリとした食感も備えた両者の旨みを持つ魚であり、塩焼き、煮付け、干し物や西洋料理など多彩に利用できる素材である。 アジのタタキ・・・・・・・・三枚に卸した片身を3等分にし、血合いの部分を取り除く。3等分した身を縦方向に5等分し て包丁の背でタタく。もう一方の片身は横に切り、取り除いた血合いも混ぜて粘りが出るまで よくタタく。このタタいた2つ片身と薬味の青ねぎを混ぜると、プリプリ感のあるタタキが出来 上がる。 天ぷら・・・・・・・・・・・・・三枚に卸し、腹骨をすきとって揚げる。中落ちは捨てないで、カラリと二度揚げにして「骨せ んべい」に。 小アジの丸揚げ・・・・・エラとワタとゼイゴをはずして、丸ごと天ぷらに揚げる。また、片栗粉をまぶして唐揚げにし、 頭から丸ごと全部食べる。残ったら南蛮漬けにして保存出来る。 鯵釣や 帆船にあひし 梅雨の中 飯田 蛇笏 皮かたき 小鯵小ざかな 月近く 若山 牧水 夕鯵を 妻が値切りて 瓜の花 高浜 虚子 |
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