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日本の旬 魚のお話(冬の魚-4) | |
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甘海老(あまえび) | |
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旬 | |
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ここ20年ほどの間に日本中へ行き渡ったこの海老は、海老好きの日本人が見つけた深海の珍味。 最近は冷凍および輸送技術の発達で年中食べられる様になったが、殻をむいて生のままつるりと食べる甘海老の美味しさが増すのは、冬である。 甘海老の ヒヤリと酒の 舌に溶け 三邑瑠 |
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命名 | |
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正式な名前は北国(ほっこく)赤海老であるが、通称は甘海老や赤海老、南蛮海老と呼ばれている。エビは全種類甘いが、特にこのエビは甘いことからの命名であろう。 エビは熱を加えると腰が曲がった様になるので、腰が曲がった老人の様子から、「海老」という字が当てられた。 英名 Pink shrimp , Deep-water shrimp , Northern shrimp |
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十脚目タラバエビ科タラバエビ属ホッコクアカエビ | |
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このエビは、クルマエビ類とは別のコエビ類に属している。タラバエビ科は、その名の通り寒海系の種で、棲息深度も深い。比較的大型種が多いこと、多産すること、肉質がよいことなど、クルマエビ類についで商業的価値が高いエビである。 |
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タラバエビ科タラバエビ属の仲間 | |
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トヤマエビ・・・・・・・・・富山湾の水深300m前後で多く獲れる。ボタンエビとも。 ホッカイエビ・・・・・・・岩手県沿岸から北海道沿岸の水深1〜6mに棲息。体長13cmの緑褐色で体側に数本の黄色 ないし白の縦縞がある。北海道の野付湾では打瀬網漁、サロマ湖や能取湖では籠網漁で漁獲 される。 シマエビ・・・・・・・・・・水深500m前後に棲息。モロトゲアカエビ属では、体側の美しい縦縞をもつモロトゲアカエビが 水深300mの東北地方太平洋側で漁獲される。 そのほか ・・・・・・・・・山陰の浜坂漁港に揚がるエビのうち、地元の人達に引っ張りだこなのが、エビジャコ科のクロザ コエビ(通称モサエビ)で、水深250〜300mに棲息する。300mを越えるとトゲクロザコエビが 棲息する。水揚げ後もしばらく元気で、鮮度も保ち易い。生、焼き、煮、いずれも美味。味がイセ エビに似ている。 |
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分布 | |
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北太平洋、北大西洋に広く分布する環北極種で、各地で多量に漁獲され、ベーリング海およびアラスカ湾のエビ類漁獲量の80〜90%はこの種である。 日本海の海底には日本海盆とよばれる巨大な盆地が広がり、所々に丘や 山が点在する。この水深200〜500mに甘エビも棲息する。 |
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外形 | |
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エビ類とはいえ、中型の大きさで体長12cmほど。額角の長さは頭胸甲長の約1.5倍で、上縁に12〜16本、下縁に6〜9本、先端に1本の棘がある。 前の10本の脚は胸脚と呼ばれ、これは歩くためのもの。あとは遊泳するための腹脚で、産卵した卵を抱卵するまでこの腹部でかかえている。 |
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産卵 | |
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産卵期は3〜5月。 甘海老は普段、水深500m前後の所でよく獲れるが、冬の1〜3月頃になると、約10ヶ月近くも脚部に抱えていた卵を放つために200m前後の浅い所に移動してくる。この時期が甘海老の旬でもある。 抱卵数は800〜4200粒で、体長5mm程の全てオスばかりの幼生が孵化し、1年で体長4cm程となり、2〜3年でオスとして成熟する。 |
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性転換 | |
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大部分は5年で交尾し、5年半頃から生殖腺の雄性部分の退化が始まり、代わって雌性部分が成熟する。体長6cm程の満6年で雌として初回の産卵を行い、翌年に幼生を放つ。 日本海の個体群は初回の幼生放出後、満8年で再度産卵を行い、結局一年おきに一生で2〜4回産卵するが、太平洋群では毎年産卵する。オホーツク海の北見大和堆(やまとたい)では、隔年産卵群と毎年産卵群が混在するという。 |
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漁法と漁獲 | |
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底引き網漁が中心。 現在、日本人の年間消費量は約25千トン。我国の生産量は5千トン足らずで、世界中の甘海老を日本人がほとんど食べている。 昭和40年頃までは、地元で冬の一時期にお目にかかる程度のローカルな海老にすぎなかったが、冷凍や輸送技術の発達で全国的に知名度が上がり、現在はほとんど北欧からの輸入となっている。 |
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海老は切っても血が出ない | |
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エビやカニの血管系は、動脈だけの開放型をとっている。血液が赤いのは呼吸色素に鉄がついたヘモクロビンのためだが、エビやカニは呼吸色素に銅がついたヘモシアニンという無色透明の血液なので、切っても血液が出ないのではなく、見えないだけである。 |
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黒変現象 | |
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ヘモシアニンの中にチロシナーゼという酵素が存在していて、長く空気に触れて酸化すると、メラニンが生成されて黒色となる。エビの頭胸甲にはエラがあり、エラには多量の血液があるため、酸化によって頭の部分が黒くなる。よってエビの鮮度判定のバロメーターとなる。 海老動く 瑠璃(るり) の生身を くらひけり 野見山 朱鳥 |
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甘海老の赤 | |
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車海老などを加熱すると、殻の中のタンパク質と結合していたアスタキサンチンがタンパク質と遊離し、酸化してアスタシンに変わることで赤色となる。甘海老はアスタキサンチンが空気に触れて酸化し、赤変したから赤いのである。 |
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甘いわけ | |
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甘味の主体はアミノ酸で、タウリン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニンが多い。その中でとくにグリシンが多く、甘味を強く感じる。また、水分80.9%という柔らかい肉質に、主成分であるタンパク質がとけこんでとろみが出る。これがうまさ、甘さを引き立ててくれる。 |
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加熱すると味が落ちる | |
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水分が多いので、加熱すると水分が減って身がバサバサになってしまう。また、水分といっしょに旨味成分も出ていってしまうから、味も落ちてしまう |
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食べ方 | |
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孵化後5年経って性転換した体長10cm、重さ15gの頃が最も美味しい。 刺身・・・・・・・・・・・・頭を取り、胴部のじゃばら状の甲は尾を入れると7つあるが、5番目までの殻をむいて食べる。頭 にはミソがあり、口で軽くすすって中のミソも堪能してみては。但し鮮度の良いものにかぎる。 塩焼き・空揚げ ・・・頭を塩焼きや空揚げにすると、香ばしい味となる。また刺身に出来ない小ぶりの甘海老は、もっ ぱら空揚げにする。 梅肉和え・・・・・・・・ムキ身にした甘海老5尾を梅干し、半個分の梅肉に和えて、その上にエメラルド色の卵を添える。 卵のプチプチした食感と梅肉のすっぱさ、これに甘海老の甘味が加わった珍味。 甘海老の炊き込みご飯 ・・・・・子持ちの甘海老を使って炊き上げると、ご飯がほんのりとピンク色になり、卵は熱が加わることに よって香ばしくなる。山菜を混ぜると一段と風味が増す。 後ろにも 目があるように 海老は逃げ 機 司郎 まな板の 海老反りかへる 思案かな 赤尾 恵似 コルセット 脱がせるように 海老をむき 三 語 |
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