日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(春の魚-2)
笠子(かさご)
磯魚の代表格で、日本全国に分布している。南北に長い日本列島では各地で旬が異なり、季語は春。
春先や晩秋は美味であるが、別に夏は不味いともいえないので、ことさら気にする程もない。昔は大衆魚であったが、今では高級魚扱いである。
             行く春や 舞ふかに泳ぎ 蓑笠子魚     安藤 三保子
命名
頭が大きく、張り出した背鰭や胸鰭を笠に見立てて「笠子」と名付けた。また、『魚名考』によれば、あばたの様なデキモノの跡の模様があるところから、「瘡魚(かさご)」と呼ばれたとある。瘡(かさ)とは俗にいう「おでき」のこと。
地方名
全国的に分布しているだけあって、地方名も多彩。
ホゴ・ホオゴオ(広島・四国・九州)ワゴ(四国)
            ・・・・稲ワラで編んだ袋や篭で上部の口が全部開いているものを「ホゴ」や「フゴ」といい、口の大
               きいことからカサゴをホゴと呼ぶ。
ガガナ(鞆の浦)・ガガニ(高知)・ガカネ(和歌山)
            ・・・・「ガガ」の古語は「カカ」で輝くこと、赤々していることをいう。「ニ」や「ネ」は「ナ」の転訛で魚名
               語尾。いずれも「真っ赤な魚」を表す呼名。
ガシラ(関西・高知)・・・・体表に雲状斑紋のあるため「痘痕魚」の意で呼ぶのであろう。「ガシ」、「ガジ」、「カシ」は痘痕
               の方言。「ラ」は魚名語尾。
チガシラ(和歌山県田辺)
            ・・・・血のように赤い色のガシラの意。
アタガシ(和歌山県南部)
            ・・・・体表に斑紋のある痘痕魚の意。「アタ」は「斑」の転訛で「ガシ」は「ガシラ」の略。
ガンガラ(播州室津)・・・・ガンガラとは「雁瘡」の意で、雁の渡来する頃に流行する瘡のこと。呼名の意味は疥癬など
               にかかったようなカサカサした体皮の魚ということ。
アラカブ(長崎) ・・・・・・・「カブ」は痘瘡の九州方言。「アラ」は「タラ=斑」の転。
ヤナギノマイ(北海道)
            ・・・・漁村で俗に「海柳」と呼ぶ海藻の生成する所に多産することから、柳魚の意で呼ぶのであろ
               う。「マイ」は魚名語尾。
シャシャコ・シャッコ(隠岐)
            ・・・・島根方言で乱暴者の意。武骨なこの魚の顔付きと、一気に餌に食いつくことからいうのであ
               ろう。
ゴッチョオ(和歌山)・・・・「餓鬼」を方言で「ガチ」といい、貪欲な魚を「カッチョオ」という。この転訛で呼ぶ。
英名 Rookfish
カサゴ目フサカサゴ科カサゴ属カサゴ
フカカサゴ科の仲間達
    1.カサゴ属      カサゴ・ユメカサゴ・アヤメカサゴ
    2.メバル属      メバル(Darkbanded rookfish)・赤魚鯛(あこうだい)
    3.イソカサゴ属    フカカサゴ・キチジ(キンキ又はキンキンChannel rookfish)
    4.オニカサゴ属    オニカサゴ
    5.ミノカサゴ属    ミノカサゴ
    6.メヌケ属       バラメヌケ・サンコウメヌケ(Coral rookfish)・マメヌケ・アラスカメヌケ・
                  オオサガ(Japanese giat rookfish)
1と2は卵胎性。
カサゴとメバルはよく似ているが、メバルの目は頭の左右、つまり側面にあるが、かさごの目は額、つまり背の方にあり、やや飛び出している。
人相の悪さナンバー1はオニカサゴで、別名「地獄の門番」とも言われている。
優雅に装うのがミノカサゴで、美しいドレスにも見えるヒレの先端には鋭い毒棘がある。
分布
北海道から東シナ海に分布し、潮間帯から水深80m付近までの比較的潮流の速い岩礁、転石、海藻帯などの磯根に棲息。
瀬戸内海は花崗岩の岩礁が多く、カサゴにとって最適地。
成長につれて深いところに移動する傾向があり、深いところほど赤味が強い体色となる。
形態
体は楕円形で側偏して頭部が大きく、眼隔域が深くしぼみ、下顎はやや伸長している。頭部背面のエラブタに鋭い棘があるのが特徴。体色が黒褐色から暗赤色まで変化に富んでいるのは、棲息場所による保護色のためであろう。
体側に不明瞭な5本の黒褐色の横帯がある。
夜行性
日頃は縄張りを作る習性がある。摂餌は夕方から始まり、2〜3時間の間に積極的に行う。魚類や甲殻類、貝、ヒトデなど多種類なものを捕食し、自分の体の2/3程度のゴンズイを飲み込んだ例もある。
産卵
メスの体内で孵化させて産み落とす卵胎生魚で、オス、メスとも高等動物の性器に近い道具を備えている。
メスは肛門のやや後方に大小2個の穴があり、大きい方が精子を受け入れ、かつ子魚を産み落とすためのもので、小さい穴は尿道。
ウミタナゴなどの卵胎生魚と同様、オスの成熟期がメスよりも早い。
10月頃、メスの卵は未成熟ながらも、お互いの腹をこすり合うようにしてオスが突出したシンボルを挿入し、ドッキングが完了。メスの体内に発射された精子は、卵が成熟する11月頃まで卵巣腔で待たされたのち、受精する。
成長
母体内で孵化した稚魚は、約15日間隔で数回に分けて生み出される。1匹の母体からは5000〜15000もの稚魚が産み落とされ、2年魚の母体で5千尾、それ以上になると1万尾稚魚を産出する。瀬戸内海では1〜5月が産卵期で、盛期は3〜4月。
6〜7mmの稚魚は棲息場所を藻場に移し、動物性プランクトンを食べて成長する。
6〜7月になると5〜6cmに成長して岩礁間に定着し、何でもよく食べる。メスは5〜6年かかって20cmぐらいになり、それ以上大きくはならないが、オスは4年ほどで20〜30cmに成長する。
寿命はかなり長く、7〜8年といわれている。
漁法と輸入
磯根に棲息することから、底曳網や刺網、釣りなど、その地域の漁業者だけが専有できる有利な面がある。
また、多回産子であることから、放流用魚種として種苗生産が行われているが、初期減耗が大きいことや、成長が遅いことで人気がない。
メヌケ類(赤魚Rook fish)としてアイスランドやUSA、ロシア等から、冷凍品で年間50〜70トンが輸入されている。
磯の笠子は口ばかり
カサゴは口が大きいが、とくに磯の浅場にいるやつは体が小さく、やけに口ばかり目立つという意で、口先ばかりで実行の伴わない人のことをいう。
安本丹(あんぽんたん) 
釣り上げられると水圧の変化で目が飛び出し、口を開けて胃袋を舌のように出していることから、安本丹とも愚魚とも呼ばれている。
食べ方
白身の淡白な味は磯魚ながら捨て難い。大きい物は刺身にし、頭や骨は塩茹でにして吸い物にする。
煮付には小ぶりのものがよく、ウロコが硬く多いので丁寧に除き、また、皮が丈夫なので包丁目を2〜3本入れる。
丸煮には、胃や肝臓、腸なども丁寧に水洗いをして、いっしょに煮る。
   アラカブ煮
       博多では、小型のアラカブ(カサゴ)を一匹丸煮にした味噌汁は人気がある。
   魚飯
       1.魚は十分にウロコを引いて、丁寧に水洗いする。その時ワタを残したままにする。
       2.千切りにした油揚、ニンジン、ゴボウ、それに醤油と酒を少々加えて、御飯を炊く。水加減は御飯を炊く
         時と同じ量。
       3.炊き上がったら頭や骨等を取り除き、身と具を混ぜ合わせる。

              初釣の 背びれ振りたる 笠子かな     疋田 華子
              磯魚の 笠子もあかし 山椿         水原 秋桜子
              大口の かさごを膝に 根釣り船       岩本 真紀郎


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