日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(春の魚-8)
的鯛(まとうだい)
マトウダイの学名はゼウス・ファベル(Zeus faber)である。ギリシャ神話の最高神の名を冠しているのは、立派な背ビレがこの魚に威厳を与えているせいかもしれない。フランス語ではサン・ピエル、ドイツ語ではピーターフィシュと呼び、共にイエスの十二使途の筆頭である聖ペテロにちなんだ命名である。
また、オーストラリアに行くとジョン・ドリーと呼ばれ、きわめて珍重されているのには驚く。
加熱する時に身が崩れ易いので人気がなかったが、フランス料理の素材としては定番であったことから、近年は人気が高まってきた魚である。
産卵前の冬が旬とされ、肉は白身で味はよく、関西では高級魚とされている。
命名
この呼名には、体側中央の円絞を弓の的と見て「的鯛」とする説と、この魚の顔が馬の頭に似ているので「馬頭鯛」とした二つの説がある。
地方名
カネタタキ(舞鶴・佐渡・四国・長崎)
               ・・・・一般に水面近くで「発音する魚」、もしくは「鐘木の形に似た魚」を「カネタタキ」と呼んで
                  いる。この魚は釣って生簀に入れておくと、低温で発声することからの呼名。
バト(舞鶴)・バトウ(下関・北九州他)
               ・・・・馬頭魚の意で呼ぶ。
マト(大阪・福岡・熊本) ・・・・・マトウダイを略して。
ツキノワ(鳥取)・・・・・・・・・・・・体側の円絞を見て、満月型のものを「月の輪」という。
クルマダイ(新潟・富山)・・・・・円絞の周りを白い環状線がとりまいて、車輪に似ていることから。
ヤイトウオ(和歌山)・・・・・・・・体側の円紋を灸の跡と見ての意。
ワシイオ(紀州)ワシダイ(鹿児島)
               ・・・・口を閉じている時の形が鷲の吻の形に似ているからとも、「ワシもタイだぞ」と主張して
                  いるふうに見えるからとも。
スベコ(館山)・・・・・・・・・・・・・鱗が極小で体表が滑らかなことから「滑魚」の意。
ガダイ(江戸時代)・・・・・・・・・「ガ」は痘痕のこと。円紋を痘痕と見ての意。
マツガネ(新潟) ・・・・・・・・・・・北陸から北九州にかけて氷柱を「ガネ」という。氷柱のように体色の白く光るマトウダイ
                  の意で呼ぶ。
英名  Target dory & John dory
マトウダイ目マトウダイ科
世界に13種、日本近海に6種が分布。棲息する主なものはマトウダイ、ギンマトとも呼ばれてマトウダイと共に食されるカガミダイ、アオマトウダイ、カゴマトウダイなど。
形態
体は薄平たい卵形で全体に鱗がなく、背ビレの棘間の皮膜は糸状に伸び、銀灰色の魚体の体側中央には一個の大きな薄黒い円紋があるが、この斑紋は死ぬと不鮮明になる。頭は大きく目はその上方にあり、特に大きな口は斜め上方に向かって開き、全長は50cmに達する。
分布
太平洋、インド洋、大西洋に広く分布する。日本では青森県以南の各地沿岸に生息するが、南日本に多い。水深200m以浅の海底に生息し、水深100m前後の貝殻混じりの砂泥底に多い。
産卵
冬から春にかけて産卵し、東シナ海では1〜3月、関東では5〜6月。卵は球形で直径1.9〜2.0mmの分離浮性卵。孵化した稚魚は全長4mm前後から体高が増加し、頭が大きくなる。
成長
全長7〜8mmになると、各ヒレの条数は成魚とほぼ同数となる。幼魚は浅海の藻場に生息するが、成長するにつれ沖合深部に移動する。
メスは全長30cm前後で成熟し始めるが、全長25cm以下では雌雄の割合に大差がないのに対し、全長30cmを超えると全体の90%前後をメス占めるように、成長するにつれてメスの割合が高くなる。
肉食で、甲殻類や頭足類を食べ、イカ類やホタルジャコ、テンジクダイ類などの魚類が好みである。餌を見つけると、口を伸張して吸い込むようにして食べる。摂取行動は産卵終了後の春から初夏にかけてが活発で、秋から冬に不活発となる。
漁法 
漁獲量は多くはなく、瀬戸内海沿岸で比較的多く漁獲される。定置網や底曳網漁が主である。
九州西方海域では11〜5月に多獲されるが、6〜10月にはほとんど漁獲されない。
疑餌鉤用素材
銀色の皮として珍重されている。身からはいだ皮をよく洗い、ガラス板などに張り付けて乾燥させ、サビキや疑餌釣に付ける。
聖ペテロの魚
イエスの十二使徒の筆頭であるペテロは、地中海東岸に位置するガラリヤ湖の漁師であった。イエスの一行がガラリア湖畔で神殿税を納めるよう要求された時、イエスが「湖に行って釣をしなさい。最初に釣れた魚の口から銀貨が1枚見つかるはずです。それを私とあなたの分として納めなさい」とペテロに言った。そしてペテロが釣りをすると、釣り上げた魚の口からイエスの予言通り銀貨が出てきたと伝えられている。
聖クリストフォロスの魚
クリストフォロスは、ギリシャでは船舶や巡礼の守護聖人とされている。彼がイエスを背負って海を渡った時、手にしていたのがこの魚で、その指の跡が斑紋になったと伝えられている。
食べ方
産卵前が旬で、白身の高級魚。鮮魚はそぎ造りやうす造りの刺身が良く、鮮度のよいものであれば肝臓も美味。
   卸し方
     1.頭を落とし、ヒレに沿って固い骨があるので、その上から包丁を入れる。尾まで包丁を入れたら一気に卸
       し易いように左手で身を持ち上げる。
     2.包丁を頭の切り口から入れて、一気に片身を取る。同様に骨を下にして置き、片身も卸し、腹骨をとる。
     3.皮引きは弾力のある白身なので外引きがよい。
切り口から銀色の細かい粉がでるので、東北地方では銀色の粉にあたるといって食さない地方もある。
加熱すると旨味が出ることから塩焼き、煮付、唐揚げ、照り焼きや味噌焼きなど強めの味付けの調理にも向く。
また、バター焼き、ブイヤベース、ムニエル、グラタン、ワイン煮、マリネなどと色々と利用されている。


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