日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(冬の魚-17)
黒曽以(くろそい)
釣人に人気のある魚で、特に北海道では鯛に代わるほど珍重されている。
フサカサゴ科の魚は美味なものが多いので人気があるが、クロソイはその中でも最も美味しい磯魚の代表的な魚である。
旬は12月から2月にかけての冬。
命名
磯場の魚を磯魚(そい)と呼ぶ。「ソ」は磯をいい、「イ」は魚を表わす語で、クロソイはメバル属のうち、沿岸性で体色の黒いものの総称である。ちなみに体色が明るくて眼の大きなものはメバル、沖合の底性生活するものはメヌケと呼ばれる。したがって、同じ魚種でも地域や大きさ、または体色の濃淡によってソイと呼ばれたり、メバルと呼ばれたりする。
地方名
オコゼ(高知)、クロアタガシ(熊野)、クロカラ(富山)、クロスイ(宮城)、クロハチメ(越後)、クロメバル(田辺)、ゴマゾイ(松島)、タケノコメバル(下関)、ハツメ(富山)、モヨ(東京)、ワガ(浜名湖)、モブシ(大村湾)、ソイ(徳島)、ガク(岡山・広島・香川)、ガブ(兵庫・徳島・香川)、ホゴ(香川)など。
   英名 Rock fish & Jacopever & Sting fish
カサゴ目フサカゴ科メバル属
仲間にはムラソイ、ホシナシムラソイ、オオゴンムラソイ、アカブチムラソイ、メバル、タケノコメバル、ヨロイメバル、コウライヨロイメバル、キツネメバルがある。
   ゴマソイ・・・・・・両眼の間が大きく窪み、体全体にゴマのような小白斑が密在する。体長35cm。
   シマゾイ・・・・・・両眼の間が大きく窪み、体側に2本の暗黒色の縦帯があり、背ビレには毒を持つ。
   ムラソイ・・・・・・体の模様にムラがあることからついた名で、両眼の間が大きく窪み、背ビレ棘数が13本。頭部、
             腹面、胸部、腹部に小黒斑がある。体色や背ビレの基底にある鱗の状態により、ムラソイ、ホシ
             ナシムラソイ、オオゴンムラソイ、アカブチに分類する。
   ヨロイメバル・・・ソイの中でも短形で、カサゴに似た体型。両眼の間が大きく窪み、背ビレに14本、腹ビレに褐色
             の小斑がある。体長は17cm。
形態
頭部にある棘や骨質の隆起がよく発達し、強い。体色の黒味が強いが、地域によっては体色の変化が激しく、一見しただけでは近縁のキツネメバルと見分けがつかない場合もある。
未成魚では、眼の下に涙を流したように斜め下方へ走る涙骨があり、ここの2本の暗色帯が顕著で、3棘あるのが特徴。他のソイとの違いを識別できる第一の目安になる。
オスの成魚では肛門直後に生殖突起が突出する。体長は通常25〜35cmであるが、40〜50cmに達する大物もいる。
分布
北海道以南の日本沿岸各地や朝鮮半島、中国に生息し、水深100m以浅の岩礁域よりも砂泥底によく見かける。
若魚は漁港や防波堤周辺に多く、成長すると潮通しのよい水深30m前後の岩場へ移動する。
また、成魚は季節的な深浅移動を行う。春から夏には沿岸の浅場に、秋から冬には沖合の深場へ移動する。日没前後から集団で浮上し始め、活発に遊泳する。
産卵
フカカサゴ科に属する魚は総じて卵胎生であると考えられており、ウミタナゴなどと同様に体内受精を行う。交尾期は晩秋から冬で、オスはメスの肛門付近にある穴にオスのシンボルをわずか5秒ほど挿入する。メスの体内に送り込まれた精子は一時休眠し、卵が成熟する翌年の春に受精する。
メス親体内での受精から仔魚の産出までの期間は、およそ1ヶ月半である。春から初夏になると、産出が近づいたメスは生殖孔周辺が赤みを帯びてくる。
産出は、水温15℃前後の頃に日没から真夜中にかけて、水深40m以浅の岩礁域で行われる。
成長
産出された仔魚は帯状の寒天質に覆われて連なっているが、親魚が胸ビレや尾ビレでこの帯をあおり、仔魚を拡散させる。
1ヶ月で15mm、1年後に10cm、3年後に25cm、5年後に35cm前後へと成長する。寿命は10年程で、最終的には50cmぐらいに達する。オスは2年前後、メスは3年前後から成熟し始める。
夜行性で、昼間は岩礁の割目などに単独でひそんで暗くなるのを待ち、日没後に集団で餌を捕食に出かける。肉食で、イカナゴやマイワシ、ウマズラハギなどを好み、その他にはアミ類や甲殻類、タコ類、イカ類、ゴカイなどの多毛類も摂餌する。15〜20℃で最も活発に摂餌するようだ。
漁法
クロソイを対象とした漁業はなく、刺網や定置網、底曳網、釣りなどで混獲される。日本海側で多く漁獲され、特に5〜6月と10〜12月に多い。
瀬戸内や大阪湾のように砂泥底が多く、大きな根が少ない場所でのソイ釣は沈船が好ポイント。なぜか金属が好きで、同じ沈船でも鉄船の方がよく付くし、人口漁礁でも鉄製のものを好むといわれている。
種苗生産
1987年から3cm程の種苗が放流される様になり、現在では全国各地で種苗放流が行われている。本種は生存率が高く、比較的容易に生産が出来る特徴がある。
食べ方
ソイの仲間では一番美味な魚。
塩焼きが一般的に美味しいが、白身で脂の乗っている時期はさっぱりとした口当たりで刺身にも向いている。
皮も美味なので、さっと熱湯をかけて表面だけ白く霜降り状にした、松皮造りもよい。
一煮立ちさせるとダシに旨味がよくでるので、チリや味噌汁の具にしてもよい。ただし、磯臭さもある。
煮付けは火を通し過ぎると煮くずれしやすいので、調理に一工夫するとよい。また、20cmに満たない様な小振りのものは、頭を落とした状態か、または丸のまま唐揚げにするとよい。これにあんかけをしたのも美味しい。


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