日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(秋の魚-15)
真鯖(まさば)
昔は貴重な蛋白源として、京の都の台所を賑わせた。この塩鯖を運ぶルートとして、北陸の若狭湾から京への道が「サバ街道」と云われた。
産卵を終えた4月から6月頃のサバを「盆過ぎての鯖」と云い、脂が落ちて不味いが、秋サバともなると丸々と太って脂も乗り、最高の旬を迎える。
                  秋鯖や 若狭産れの 京育ち       妙 女
命名
群れをなしているので「多(さわ)」から転じたという説や、サバには小さな歯がきれいに並んでいることから「狭歯(さば)」から転じたという説、アイヌ語では「シャンパ」と呼ばれることからそのなまったという説、むかし周防の「佐波(さば)郡」で獲れるものが美味だったからという説など、様々な説がある。
また、斑入りの魚を「斑葉魚(いさばらうお)」や「斑葉(いさば)」ということから、「イ」が省略されて「サバ」になったという説もあり、実際に昔の魚市場では「イサバ」と呼ばれていた。
地方名
ホンサバ・ソコサバ(出雲)・ノドサバ(仙台)・モサバ(広島)・・・中型のサバをいう。
その他、ヒラサバ(九州・高知・静岡・香住)・ヒラス(長崎)・グルクン(沖縄)など。
       英名 Japnese chub mackerel
スズキ目サバ科サバ属
スズキ目は魚類の中での最大派閥であり、魚の世界でも鈴木さんは多いらしい。そのスズキ目の中でカツオやマグロ、カジキが含まれるサバ科というグループは、大きな勢力を形成している。
サバ属にはマサバ(真鯖)とゴマサバ(胡麻鯖)がある。
  マサバ・・・・・特有の流れるような背の縞模様が鮮明。体がやや平たいのでヒラサバとも呼ばれ、通常サバと呼ば
          れるのは真サバを言う。秋鯖と呼ばれるように脂の乗った秋が旬で、日本海のサバは関東のサバの
          味が落ちる頃から美味となり、脂の乗りも関東よりぐんと多い。
  ゴマサバ・・・下部の腹側にかけて胡麻を散らしたような黒い斑点が点々とある。丸味をおびているのでマルサバと
          も呼ばれる。脂の乗りは一年を通してあまり変わらないが、旬は夏。マサバが寒流系に対し、ゴマサ
          バは暖流系であり、2年魚で東シナ海では1〜5月、日向灘2〜3月に産卵し、寿命は4年。マサバより
          脂がやや少なく、サバ節やフィシュミールに利用され、そばの出し汁にはサバ節が70%、煮干または
          鰹節が30%と、ゴマサバが活躍している。
形態
魚のヒレの中には、左右一対となっている胸ヒレと腹ヒレがあり、これは陸上動物に進化して手や足となるところで、この腹ヒレを前方に持つ魚が概して進化の歴史では進んでいることになる。サバや鰯、太刀魚等を比べて見てみると分かるが、サバは進化した魚ということになり、興味深い。
全長は50cmに達し、日本のサバの斑紋はやや緑色であるが、ノルウェー産は斑紋が黒くはっきりしており、脂肪も強い。
分布
全世界の亜熱帯及び温帯に分布する。日本海では北海道以南の沿岸各地に生息し、季節的な南北回遊を行う。
日本近海のマサバは、関東から三陸沿岸に分布する太平洋系群、日本海沿岸に分布する日本海系群、東シナ海周辺に生息する東シナ海系群の3群に分けられる。昼間は水深70〜150m層に多いが、夜間は表層に浮上する。
産卵
春から初夏で、気温の変化に伴って北上する。
   1.東シナ海   3〜6月
   2.九州西岸   4〜5月
   3.若狭湾    5〜7月
   4.北海道南部 6〜7月
産卵海域の水温は15〜20度で、産卵数は体長30cmなら30〜80万粒、40cmで5〜10万粒。産卵は夜間に行われ、とくに20〜24時の時間帯に集中する。
卵は球形で、6mm前後の分離浮性卵。産卵から孵化するまでは15度で100時間、20度で30時間前後。
成長
孵化した仔魚は3mm前後で、水深50m層に分布する。仔魚同士の共食いもある。全長10mm前後で成魚と同じヒレの条数となる。
1年目で20cm、2年目で30cm、3年目で32cm、5年目で33〜40cmに成長する。成長するにつれて浮遊性の甲殻類から、カタクチイワシやハゼ、マアジの幼魚など、小魚を食べて育つようになる。
漁法・漁期
延縄や刺網、敷網など色々あるが、最近は巻網とあぐり網が中心。
漁期は、冬が常磐沖、冬から春が伊豆大島から房州、及び若狭と東北地方、初夏から夏は釧路、初夏から秋は九州。
サバ時代
1970年代は、当時の漁獲高の16%にあたる160万トンあったが、近年では25〜30万トンに激減し、ノルウェーからの輸入物が15万トンと、すっかり輸入物のサバの時代になってきた。ノルウェーのサバはニシマサバで、国内産より縞模様がよりクッキリとして色が濃いのが特徴。
お中元の元祖
江戸時代には、七夕祭りの前後に諸大名が将軍家へサバを献上する習慣があり、それが後にサバ代として金額で納めるようになった。これが、後年にはお中元の習慣になったとも言われている。
                        秋鯖の ずしりとおもし たなごころ      深見 桜山
関サバ
マグロより高価といわれる関サバの条件。
   1.豊後水道で一本釣りされたもの
       豊後水道の中でも、佐賀関と佐田岬の間にある十数kmの速吸(はやすい)瀬戸と呼ばれる急流で育った
       ものに限る。この海峡の中央に高島と言う小さな島があり、この島から佐田岬までの海の底には、保子礁
       (ほごしよう)と呼ばれる海中の山が突き出ている。この周辺に瀬付きサバと呼ばれる周年サバが居付いて
       いる。
   2.生かしたまま持ち帰って生簀に入れ、サバのストレスが無くなったところで一本づつ締めて出荷する。
         ※ 速吸瀬戸は急流で、手漕ぎ船時代は操船が難しく、魚がいても手が出せなかった。
            船外機でも1日1〜2時間の稼動で、大漁でも20匹程度である。
俗諺
サバの生き腐れ・・・・・・・・・釣り上げるとすぐ死に、死ぬと直ちに死後硬直をおこし、それが終わると熟成が始まる。
                 サバは海の上層で泳ぐ為か肉質が柔らかく、内臓が多いことなどから、外観に比べ肉の
                 鮮度が先に落ち、鮮度を見誤ったりたりしがちなことから言われる。
サバは金筋入りをさがせ・・サバの腹に金色の紋が浮き出ていれば、鮮度と脂の乗りが最高の証拠とされていること
                 から言われる。切身の場合は身と血合の境がはっきりしているもの。また、シメサバは青
                 味と銀色の部分がはっきりしている物を選ぶ。
サバ読み ・・・・・・・・・・・・・・語源としては、
                 1.魚市場では、入荷量の多い物を鮮度が落ちないように早く数える必要から数に誤差が
                   多かった。
                  2.寿司屋が出した数を覚えておくのに、生飯(サバ)を使った。
                  3.中元にサバの開きを贈る時、2尾で1枚と数えた。
                 というような説があるが、ケシカランといって腹を立てるよりも、またあいつサバ読みやがっ
                 たな!とニヤリとする雰囲気を持つ言葉でもある。
秋サバは嫁に食わすな・・・これも語源としては、
                 1.嫁いびりの意で、旬の秋サバは美味しく、勿体無くて嫁には食べさせない。
                 2.嫁へのいたわりの意で、旬の秋サバは美味しく、食べすぎて体をこわすから。
                 3.迷信的な意もあり、秋サバには卵が無い、つまり子種が無いことから。
                 などの諸説がある。
                      飲む亭主 月給のさばを よんでおき    昌 防
ジンマシン
アミノ酸の一種ヒスチジンが、死後に分解されてヒスタミンという物質になり、アレルギー体質の人が食べるとジンマシンを起こす。
サバのヒスチジンはマグロやカツオより少なく、肉1gあたり、マグロの580mg、カツオの550mgに対し、サバは390mg。だが、サバにはカテプシン系の蛋白分解酵素が多いので、分解が早くヒスタミンが多く出来易い。
鯖大師
塩サバにまつわる昔話で、庶民の食生活の広がりから、各地に分布している。
実は行基上人である旅の僧が、荷駄を引いてきた魚屋に塩サバを譲ってほしいと頼むが、魚屋がニベもなく断ると、サバを積んでいた荷馬が突然腹痛を起した。困った魚屋がサバをその旅の僧に与えて懇願すると、たちどころに腹痛が治まり、旅の僧の手から海に戻された。そして、塩サバも泳ぎ去ったという。
健康食品
サバの脂肪には、コレステロールを下げる不飽和脂肪酸が豊富に含まれている。また、血合肉には、同様にコレステロールを下げて肝機能を強化するタウリンというアミノ酸の一種も特に多く含まれている。
蛋白質も豊富で、血合肉には鉄分もたっぷり。そして、ビタミンB2の含有量は魚の中でも1番と言う優等生。
サバ街道
若狭から京まで塩サバを運んだ街道で、小浜市から京都までを結ぶ現在の国道365号線である。街道の途中にある滋賀県朽木村では、現在でもサバを発酵させた「なれすし」、1年間ぬかに漬けた「へしこ」が作られている。
サバ寿司
京都の葵祭にかかせないのがサバ寿司である。
発祥の地は紀州熊野とも言われている。今までも「なれすし」スタイルの「下ずし」や「柿ノ葉すし」などがあり、山間部に集中している。塩サバをうまく加工した食品である。
  製法・・・・塩抜きして白板昆布をのせる。すると、昆布の旨味成分であるグルタミン酸がサバに移り、サバから出る
        イノシン酸との相乗効果でさらにうまくなる。また弱酸性の食酸で生臭みを消し、殺菌効果と保存性を向
        上させている。「棒寿司」は塩サバを、「バッテラ」は生サバを使う。
食べ方
サバの生き腐れと言われくらい、傷み易い魚である。「サバの鮮度は色で見ろ」とも云われ、斑紋の鮮明さ、銀白色の腹の張りや血合い肉の色の鮮明さなどが、鮮度の目安となる。
味噌との相性がよく、肉質には旨味成分が多いため、味は抜群となる。味噌煮や船場汁などは、これを利用した最たる料理といえる。

             朝市や まだ海色の サバをせる        角川 春樹
            サバの 顔くろこげに 焼かりけり            輝弘
            酢でしめて サバの薄皮 はぎにけり      早川 ともこ


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