日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(秋の魚-10)
目板鰈(めいたがれい)
瀬戸内海では、産卵前の秋から冬にかけて脂がのる。メイタガレイはどらかというと関西好みで、上方割烹において特に珍重される。
季節によっては皮の臭いが強いので、普通は皮を剥いでから料理をする。

            鰈の身 緊(しま)り初秋は 海より来      鈴木 翠塔
命名 
「両眼の間に堅い骨板があるから」というのが通説であるが、桧山博士は、「両眼の中間に、前に向かって数本の小さな棘がある。カレイを持つときは普通、頭を指でつまむ。このカレイをつまむと、その棘がチクリと刺す。目のところを持つと痛いことから目痛が語源である」としている。
ちなみに、カレイとは、普通の魚の半分のように見えることから、「片割れ魚」という言葉が省略されてカレイとなった。
地方名
アマテ(香川・鹿児島)・・・・・四国方言で「アマテ」とは、手が腫れて痛むこと。またその手のことをいう。身が厚く、手が
                 魚の形に似ていることから呼ばれた。
ゴウリガレイ(愛知)・・・・・・・ワラゾウリのことをコオリという。それに似た形と感触からの呼び名。
ツボグチ(岡山)・・・・・・・・・・つぼんだ口の魚の意。
タバコアサバ(富山) ・・・・・・煙草の香りに似た魚の意。アサバはカレイ類の異称。
フウジマ(小名浜)・・・・・・・・地色と違った斑紋や縞などを「斑(ふ)」という。体表に多くの斑紋がある魚の意。
ホウショウ(七尾) ・・・・・・・・体表に多くの斑紋があることにより「疱瘡魚」の意。
マツクサ・マツバ(山陰)・マツホ(山口)
               ・・・この魚の臭いが、松葉の香りに似ていることからの呼び名。
英名 Finespotted floud
カレイ目カレイ科メイタカレイ属
ナメタカレイという同胞種(形態がよく似た近縁種)がある。背縁を走る側線の頭部側端が分枝しないのに対して、ナメタガレイは分枝することで区別される。
分布
北海道以南から台湾にいたる、日本の沿岸と東シナ海北部に分布。水深100m以浅の泥砂底に生息する。
形態 
カレイの中では小型で、体は幅広く、厚身で口が甚だ小さい。目のある側は茶褐色の無数の小斑点があり、目は突き出て大きく、両眼は接近して、その間に隆起がある。成長は雄より雌のほうが僅かに早く、最大全長は雄が27cm、雌が29cm。
産卵
オスがメスを追う追尾行を見せ、その前後でお互いが顔をもたげながら、時々体をすりつけ合ってラブダンスをする。その後、オスが背鰭を立て、メスにおおいかぶさって、お互い体をバタツかせ砂を巻き上げながら放卵、放精する。
産卵期の間は食事もとらずにひたすら励むだけだが、実は生殖巣が肥大しすぎて消化器官が圧迫されているため、食べたくても食べられず、生殖巣の中身を出してしまえば楽になるので、激しいラブダンスをするのである。見た目ほど楽ではないのかも。
産卵は晩秋から初冬。孵化は水温14℃前後で120時間。
成長 
体長13mmを越える時には、左眼が体の右側に移動し終える。体長10〜14mmで底生生活に移行し、10〜30mの砂泥底に多く生息する。成長と共に深場に移動し、体長18mm前後で成魚と同じスタイルになる。
食性は主に多毛類や貝類などを食べるが、端脚類などのプランクトンも食べる。
1年目で10cm、2年目で15〜18cm、4年目で23〜25cmに成長する。3年目ぐらいから生殖行動に参加するようになる。
漁法
マガレイや石カレイは一本釣りや延縄でも釣れるものが多いのに対し、メイタカレイはほとんど底引網でしか獲れない。
海のカメレオン
光に対して非常に敏感で、色素細胞を広げて暗色となったり、逆に縮めて明色にしたりと、周囲と同じ色に15〜20分で変色する。しかも、小石まじりのところでは小石模様まで現すというこり様である。
この判断は眼で行っているらしく、砂の上でも頭部だけ黒くしてやると体全体を黒く変えてしまう。多分、黒い所にいると錯覚してしまうのだろう。これでは「頭隠して尻隠さず」で、かえって目立ってしまう。これは海底でしか通用しない技だ。
また、舟影などにも敏感に反応してすばやく逃げるのだが、その為、かえって簡単に見つかってしまうというドジな一面もある。
カレイの刺身の旨さ
カレイの旨さは歯ごたえのよいところにある。
これは、コラーゲンとエラスチンという硬質のタンバク質を多く含んでいるからであり、これが生で食べた時のコリコリした歯ごたえの要因となる。
薄切りした身を冷水で洗うように振ると、まだ筋肉中に残っていたエネルギー発生物質のATP(アデノシン三リン酸)が冷水の方へ放出され、この時のエネルギーで筋肉が著しく収縮することにより、歯ごたえがよくなる。
カレイの甘味
刺身をよく噛むと、ほのかな甘味が口中に広がる。この甘味エキス成分はグリシン、アラニン、バリン、グルタミン酸などのアミノ酸によるもので、これらの旨味成分は死後硬直前よりも熟盛期に入ったものの方が多い。
釣ったばかりのカレイよりも、市場で取引されて魚屋の店頭に並ぶものの方が旨味は強い。
食べ方
カレイ類はウロコが細かく、ヌメリも多いので、包丁で丁寧にとる。腹は眼のない側から切れ込みを入れ、苦い内臓をつぶさないように取除き、全体を薄い塩水で洗っておく。大きいものは5枚におろして、薄造りにしても美味しい。キモも忘れずに添える。
   薄造り・・・・・醤油とワサビよりも、ポン酢醤油にもみじおろしと刻みアサツキを入れた調味液で食べるのがよい。
   唐揚げ ・・・・ウロコやワタを取り、身に×印の切り目を入れ、二度揚げにする。一度目は160℃の低めでじっくり
           と揚げ、5分程度置くと余熱で身の中に熱が加わり、旨味が逃げない。二度目は180℃ぐらいでカ
           ラリと仕上げる。ポン酢醤油ともみじおろしで食べると美味い。
   煮付け・・・・・ひたる程度の水に、薄口醤油と砂糖少々、汁気を多目に煮つける。白身の魚には、あまりくどい味
           付けは避けた方がよい。
   一夜干 ・・・・アミノ酸などタンパク質が熟成し、旨味成分が増えることと、水分が蒸発し、肉質がしっかりすること
           により旨味が増す。


            小鯵釣り 大きな鰈 釣り上げし       能網 さかゑ
            うすうすと 生身の彩や 鰈干す       中村 能子
            煮凝や 鰈全き うらおもて          水原 秋櫻子


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