日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(春の魚-11)
拶双魚(さっぱ)
アジ釣りなどで混じって釣れることから、よく外道扱いされる魚であるが、なんとママカリの名で有名になった魚で、とくに岡山県の倉敷地方の名産品となっている。
ママカリの名の由来を聞くと、あまりにも美味しいので我が家のおひつを空にし、更に隣家のママ(ご飯)まで借りてきてもう一杯と食べたくなる程美味い魚からの命名とのこと。白身でさっぱりしており、なかなかの珍味魚である。
一応、初夏と晩秋にかけてが旬ではあるが、イワシと同様に、それほど気にすることではない。
命名
東京や神奈川地方の呼名をとって和名としている。その語源について『大言海』には、「コノシロに比して味の爽(さっぱり)したる意にあるか」としている。他の辞典にも魚類関係の書物にも、この呼名の語源に触れたものは無い。
日本民俗学の書物には、「全国各地の漁村においてはごく小さな手漕ぎの舟をサッパと呼んでいる」と書いてある。神奈川県の三浦地方では、サッパの呼称が小舟とこの小魚の双方に共用しており、これは呼称の語源が同一であろうと考えられる。
「サッパ」の語意は「細小魚(ささば)・笹魚」で、笹の葉のような雑魚を表わすのではなかろうか。「バ」や「パ」は魚名語尾。
地方名
日本各地の沿岸に生息する魚とあって、地方名は数多くある。
ススポ(三重県浜島)・・・・・・「スス」は笹と同義語。「ポ」は「ウオ」の音便転訛。細い魚や細小魚の意で呼ぶのであろう。
                 サヨリを淡路(兵庫県)では「スズ」と呼ぶのと同じ。
ハベ(広島県豊田郡)・・・・・・木の葉のような雑魚の意。「ハ」は木の葉、「ベ」は魚名語尾。
ゲナミ(秋田県八郎潟)・・・・「餉(げ)の魚」の意。「ケ」や「ゲ」は飯の意で食べ物の総称。「ナ」は「ノ」と同義語。「ミ」は
                 魚介の総称。つまり、飯の補充にする魚の意。
カツ(伊勢)・・・・・・・・・・・・・・糅(カト・カド)と同義語であり、飯の足しにする魚の意。または、「カツ」や「ガツ」は「竿で叩
                 くこと」であり、「石を投げて魚を追い込むこと」でもある。このことから、この漁法によって
                 獲る魚の意かもしれない。
ガラザエ(堺)・・・・・・・・・・・・長い柄の先に回転する竿のついた打器で、ムシロに広げた麦の穂を叩いて籾を外した。
                 この打器を殻竿(からざお)といった。ガラザエは殻竿柄の意で、水面を竿で叩く追込み漁
                 からの呼名。
ハンダ(豊橋)・・・・・・・・・・・・体に斑点がある「斑魚(はんだ)」の意。
ワチ(広島・山口)・・・・・・・・・獣害を防ぐための田畑の囲いを「ワチ」という。沿海に囲いのように張った定置網でこの
                 魚を獲ることからの呼名。 
カワコウ(米子)・・・・・・・・・・腹部の稜鱗の堅いことからいう。
カワツ(伊勢伊曽島)・・・・・・「カワ」は体皮。「ツ」は鱗の古語で、転じて魚を表わす語。稜鱗の堅いことからの意。瀬戸
                 内ではエビの名に使用。
ハダラ(熊本)・・・・・・・・・・・・体表に斑(はだら)のある魚の意の呼名。サッパには斑はないが、コノシロの幼魚と酷似し
                 ているための混称であろう。
その他には、ナマカネ(香川県木田郡)、キイワシ(石川県)、ギッパ(愛知県一色)、ギラ(堺)、キンカ(豊橋)、サッペラ(千葉県勝山)、チナシ(紀州)等など。
英名  Japanese scaled sardin
ニシン目ニシン亜科サッパ属
コノシロと近縁であるが、ニシンやマイワシと同じ仲間で、属としては1種である。
      ニシン亜科・・・・・ニシン・マイワシ・サッパ

そのほかのニシン目
  ニシン科
      ウルメイワシ亜科
      コノシロ亜科
      キビナゴ亜科
      ヒラ亜科
  カタクチイワシ科
  オキイワシ科
分布
北海道以南、南日本各地の沿岸や黄海、東シナ海沿岸に分布する。東京湾や瀬戸内海などに多く見られる。内湾性が強く、河口付近の浅い砂泥底に生息する。
形態
下アゴが上より少し長く、ニシンと同様に脂質の眼瞼がある。体は著しく側扁し、背部が青黒色、腹部は銀白色で側線がない。他のニシン科の魚に比べて鱗がはがれにくく、腹部の端は稜鱗でギザギザしている。
レーダーの役目を果たす側線がないということは、のんびりタイプの魚なのかも知れない。
コノシロとの違い
サッパはコノシロと近縁でよく似ているが、サッパは口を開けると大きく、鱗には斑点がない。また、背ビレの最後の軟条が伸びておらず、腹部に稜鱗と呼ぶ硬い鱗の隆起線のあるとことなどが、コノシロとの大きな相違点である。
全体のスタイルは、背の線がほぼ水平で腹が少し出っ張った半月形である。
産卵
有明海が5〜6月、東京湾で6〜7月と西日本ほど早く産卵する。大集団を作って岸近くの浅瀬に寄り、午後3時頃から夕暮れにかけて、油性を持つ分離浮性卵を産む。
産卵後の卵は卵径1.7〜1.9mmで、水温19〜21℃なら36時間程度で孵化し、体長は2.3mm。21mmぐらいにまで成長するとシラス期を終え、成魚と同形になる。群泳しながらプランクトンを食べて成長する。
漁法
定置網、刺網、旋網、地曳き網で漁獲される。生息環境の似ているコノシロと一緒に漁獲されることも多い。
食べ方
焼き魚としても美味しいが、ニシン類と同様に小骨が多い為、酢漬けにすると食べ易い。「酢の物」の惣菜としての用途は広く、寿司種にも使われる。
   酢の物・・・イワシやニシンと比べて鱗がとりにくいので、丁寧に取除くことがポイント。頭を落としてワタを除き、三
          枚におろす。ザルに並べて塩をややきつく振り、塩が溶けたら酢水でさっと洗って水気を切る。酢に昆
          布を浸し、旨味が出たところで昆布を取り出し、生姜の薄切りとサッパを漬けて締め、2〜3時間して
          味がなじんだところで醤油を落として食べる。サッパリとし噛むほどに旨味が出てくる珍味で、漬けて
          から3〜4日頃までが一番美味しい。漬けすぎると酸味が強くなる。
   浜焼き(素焼き)
       ・・・・焼きたてを醤油、ぽん酢、二杯酢、生姜醤油などにジュッとつけて頭ごと食べる。 


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