日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(春の魚-17)
鮎魚女(あいなめ)
肉は白身でコリコリとして弾力があり、適当に脂が乗っていて、刺身で食べると絶品である。
中国地方の山口県や広島県では、籾種(もみだね)を買う代金をはたいてでも買ってしまう程、旨い魚として、この地方では「籾種失い」と呼んでいる。
特に春から夏にかけて獲れる物は、瀬戸内海では味がよいとされている。
命名
『本朝食鑑』には、「鮎に似ているからだ」と書かれている。どこが清流の女王と似ているのか疑問ではあるが、落ち鮎の時期になると肌がザラザラになるのと、アイナメの櫛鱗におおわれた肌が似ているから「鮎魚女」「鮎並」の字が当てられたようだ。また、賞味すべき美味な魚の意味から「愛魚女」とも書く。
地方名
油魚(あぶらめ)・油魚身(東北〜関西)
                   ・・・・鱗が小さく、全体がなめらかな感じで、油を塗った様に見えることや、白身の魚に
                      しては意外と脂っぽく感じることからの意。
根魚(ねう)・寝魚(ねうお)(仙台) ・・・岩礁などの「根」に棲息していることから。
始終(しじゅう)(山形〜石川県) ・・・・いつも同じ場所に生息しているから。
英名 Fat cod(脂っぽいタラ)、Kelpfish(藻場の魚)、Greenling(海藻に似た魚)
カサゴ目アイナメ科アイナメ属アイナメ
アイナメ科には3属9種が知られており、日本にはそのうち2属7種が分布する。
アイナメ属として、クジナ、ウサギアイナメ、エゾアイナメ、スジアイナメがいる。また、アイナメ科ホッケ属にはホッケ、キタホッケがおり、アイナメ科一族は脂っぽいのが特徴的だ。
クジメは南方系、アイナメは北方系の魚で、瀬戸内海では圧倒的にアイナメが多い。両者は非常に似ており、未成魚では区別しにくいが、クジメは側線が一本であること、口先が尖っていること、体色に赤味が強いことが特徴で、ほかにアイナメの尾鰭が垂直に対して後縁が丸いことなどからアイナメと区別できる。また、味もアイナメより劣る。
分布
北海道以南の日本各地の沿岸に分布。水深30mまでの藻の多い岩礁性の海岸や磯に多く、人口護岸のテトラポットの間などに群を作らず棲息する。
穴好きで、根城の中から餌が近づくのを待ち、泳ぎながら餌をさがす様な積極的行動はとらない。餌は雑食性で、特にカニやエビなどの甲殻類が大好物。
形態
体は紡錘形で、体側に5本の側線がある。側線は魚の第六感を司り、レーダー的な役割を持っているので、多いほど感覚的に優れていることになるし、敏感でもある。
体色は棲息場所によってオレンジ色、茶褐色、暗緑色など変化に富んでいる上、複雑なマダラ模様で見事な迷彩をしており、見付けにくい。
全長は一般的に30cm、最大で50cm近くになる。クジメは最大でも25cmとアイナメほど大きくはならない。
産卵と成長
オスは1年、メスは2年で成熟し、20〜30cmになる。産卵は寒い地方ほど早く、10月頃から始まる。産卵期のオスはペンキを塗ったような黄色の婚姻色となり、産卵は岩や石の周りで揉み合うようにして行われる。
卵は2mm前後で、2〜3000粒の卵がすぐに団子状の卵塊となって岩や海藻の根に付着する。産卵を終えるとメスは立ち去り、オスが面倒をみることになる。
卵の世話はオス
孵化するまでの1ヶ月間、オスは新鮮な海水を口やヒレで送って世話をしながら守り続ける。しかも、1尾のオスが複数のメスに求愛して産卵させているので、この時期のもてるオスは卵の世話で大忙し。
ところで、この卵を食べに来る一番の外敵はというと、なんとアイナメである。つまり、未成魚やメス、または他の卵を守っているオスが卵塊を襲うのである。
漁法
一般には刺網。
アイナメが同朋の卵を好むという習性を利用して紡錘形のおもりのすぐ後に針を付けた特殊な仕掛(ブラクリ)の釣りや、山口県には卵塊を目当てにくる魚や守っているオスをモリでつく漁法もある。
食べ方
鮮度が落ち易いので、体やエラの変色が少なく、腹に張りのあるものを選ぶのが良い。手に入れたら早目に処理することが大切だが、小骨が多いので調理には注意が必要。
   洗い・・・・・・・・・・・皮が堅いので、三枚に卸したら皮を下側にし、頭寄りから薄くそぐように斜め切りにして氷水に
              浸せば、シコシコとした舌触りがアイナメの風味を引き立たせる。活け締めにした洗いの味は格
              別である。
   木の芽焼き・・・・・三枚に卸し、腹骨をすきとる。次に、身のほうに3〜5mmの切れ込みを入れ、骨切りをし、二つ
              に切る。そして、木の芽の葉先を摘み取って入れた付け汁に、10分程度漬け込んで串打ちし、
              強火の遠火で焼きつつ、途中ハケで数回漬け汁をぬる。
他には、唐揚げ、煮物、焼き物、味噌汁、開き干し、みりん漬け、粕漬けなどなど。何でも料理できる便利な魚である。


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