日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(冬の魚-21)
楚蟹(ずわいがに)
ズワイガニと言うより、冬の日本海を代表する"味覚の王様"としての「松葉蟹」や「越前蟹」という名前のほうが通りが良い。
繊細かつ淡白で、しかも、ほのかな甘味がとろける蟹は日本人の味覚にピッタリ。
                          松葉蟹 一声あげて 競(せり)り落とす       足立 堂村
命名
木の枝や幹から細長く伸びた若い小枝のことを楚(すわえ)といい、蟹の細長い脚をその形に見立てたところから「すわえがに」と呼ばれた。
山陰地方では「松葉蟹」、丹後半島では「間人(たいざ)蟹」、北陸では「越前蟹」や「ずわい蟹」、秋田地方では「たらば蟹」と呼んでいる。これらはいずれもオスに対する呼名で、メスに対しては山陰で「親蟹」、北陸で「せいこ蟹」や「こうばこ蟹(こうばく蟹)」などと呼び、区別している。
ちなみに松葉蟹の由来は、木枯らしが吹いて松葉が落ちる頃に獲れる蟹という説と、漁師が浜で松葉を炊き、焼いて食べた蟹という説、松葉のように細く裂けることから呼ばれたという説などがある。
   英名 Snow Crab & Queen Crab
                           ずわい蟹 産地で違う 名で呼ばれ     清 七
甲殻綱十脚目クモガニ科ズワイカニ
仲間にはベニズワイガニ、タカアシガニ、クモガニ、ケセンガニ、ヒキガニ、イソクズガニ等がいる。
ズワイガニにもオピリオ種、バルダイ種、ハイブリット種が知られている。
    オピリオ種・・・・・・・カナダ中心に漁獲される。クチバシの山が3つあり、目の色がオレンジがかっている。身肉
                は繊維質が細く、やや水ぽい。
    バルダイ種・・・・・・アラスカ中心に漁獲される。クチバシの山が4つあり、目の色が赤っぽく、身肉は繊維質が
                強くやや硬い上、脚のトゲが多く、甲羅の三角形はオピリオより平べったい。オピリオの大
                型がバルダイの小型サイズにあたるが、近年は資源が枯渇しつつある。
    ハイブリッド種・・・・ロシアを中心に漁獲される。上記2種の中間種。

ベニズワイガニ
   生の時から朱紅色で甲羅が三角形をしており、茹でるとズワイガニより赤味が強く、味はズワイガニより劣る。水
   深500〜1000m近くの深海に棲息する。日本海北部から山陰まで、北海道〜銚子辺りまでの太平洋沿岸に分
   布。

マルズワイガニ(レッドクラブ)
   ズワイガニとは全く別の種であるオオエンコウガニ科で、繊維は短くて弾力性があり、コロコロとした歯ざわりと、
   甘味のある肉質が特徴。南西アフリカ沖産が輸入され、ズワイガニの代用として缶詰などに利用されている。
分布
北はオホーツク海からベーリング海を経てアラスカや北アメリカ沿岸まで分布。
日本では日本海に多く、特に能登半島以南から朝鮮半島東南部にかけて多く分布する寒海性の蟹である。
水深200m以深の砂泥底の海域に棲息する。
産卵
普段オスは浅場に、メスは深場に棲息しているが、交尾期になると浅場で混棲する。オスがハサミでメスの脚を挟みながら向き合っており、これをカップリングという。その期間は約1週間続き、その後、交尾する。
産卵は12〜3月頃で、放卵数は4〜5万粒。受精した卵はメスの腹部に外子として産出され、母蟹に抱かれたまま孵化まで過ごす。その期間はおよそ1年である。
成長
孵化した幼生をプレゾエア、それがゾェアからメカリコバと呼ばれる幼生期を終えて成長してゆく。また、成体になっても脱皮を重ねる。
オスとメスの見分け方は、カニを裏返してみると俗に「カニのふんどし」と呼ばれる三角の部分があるが、この部分の狭いほうがオスで広いほうがメス。
脱皮
表面がキチン質に覆われており、炭酸石灰を主とする鉱物質に因って皮膜が固くなり、その為、自由に成長が出来なくなる。よって、古い皮膜を脱皮によって捨てることを繰り返し、大きく成長する。
メスは4〜5年目に抱卵すると脱皮が停止してしまうため、オスとの大きさに差がつくことになる。
漁法
日本海では11月中旬に漁が解禁になり、翌年3月中旬まで行われるが、親カニのメスは子孫繁栄のため、翌年1月10日頃で終了する。
蟹底刺網、蟹篭網にイワシやサバなどの餌を入れて漁を行う。蟹漁は大正時代になって手繰り網という底曳網漁法が開発され、さらに焼玉エンジンつきの漁船が導入されてようやくスタートした。
供給量
国内産は約1割の4〜5千トン、輸入量は冷凍や生鮮物合わせて6〜7万トンで、冷凍物は主にカナダやアメリカ、ロシアから、生鮮物はロシア、北朝鮮からである。
輸入品は90%以上を占め、国内産のベニズワイガニ約2.5万トンを含めた場合でも、70%近くを輸入品が占めている。
カニの中毒
肝臓などの内臓には強い分解酵素が含まれており、死ぬとその酵素によって自分の内臓を溶かしてしまう。
一匹の形のままだと、内臓を溶かした酵素が脚の肉まで染み込んで変色させてしまうという、腐敗菌による中毒が起こる。その為、茹でるとすぐ脚だけにして冷凍保管し販売している。
甲羅は宝の山
甲羅のキチン質を利用し、実用化されているものに下のものがある。
   1.医療用の人工皮膚
   2.歯周病の治療薬
   3.悪玉コレステロール防止としての機能性食品
   4.オーディオスピーカーの音質改良
       低音用振動板の強化剤で音のヒズミを少なく し、生感覚の音が再生できる。
   5.化粧品
       保水性を保ち、肌をしっとりさせる。
   6.衣料品
       吸収性に優れ、吸収した汗を拡散、蒸発させる効果があり、スポーツウェアーや下着に利用。
これ以外にもまだまだ多くの活用法があり、昔は処分に困っていたものが宝の山となった。
美味しさの秘密
カニのエキス分にはグリシンやアラニン、アルギニン、グルタミン酸、イノシン酸、ナトリウム、リン酸カリウム等が含まれており、特にグリシンとアルギニンがアミノ酸の大半を占めているのが、美味しさの秘密。
アスタキサンチン
カニの爪などにある赤みが体によい成分として注目されている。その色素がアスタキサンチンと言う物質で、ニンジンなどに含まれているベータカロチンと同じカロチノイドの一種。
アスタキサンチンは、ガンを予防する発ガン抑制作用と動脈硬化などを予防する抗酸化作用を持つことが確かめられている。
外子と内子
外子はセコガニのメスが腹に抱いている成熟した卵巣のこと。茹で方や卵の成長度合いでオレンジ色やエンジ色のものがあり、卵のプチプチとした食感が美味。
また、内子はセコガニの甲羅の中にある未熟卵の卵巣で、オレンジ色の固まり。口に広がる独特の味と香りで、珍味として珍重されている。
国産と北洋産
両者を比べて見るとよく判るが、脚の長さは国内産の方が長く、カニの甲羅の巾と脚の長さの比率が違う。
また、山陰地方や北陸地方で水揚げされたものには、漁港によってカニの腕にプラスチィックのタグがついている。このタグには、水揚げされた「都道府県名」、「カニの呼名」、「漁船名」等が刻まれている。ただし、タグのついていない国内産もある。
カニの選び方
専門的には上蟹、赤焼け蟹、水蟹、脚落ち蟹、青焼け蟹の順にランクされているが、素人が見分ける場合は脚の太い物を選ぶほうが良い。ただし、脚を上から押してバコバコするものは身が少ない。
値段が同じであれば甲羅の小さい物を選ぶ、そのほうが身がしまって美味しい。
次に、甲羅に黒い斑点がついているものを選ぶ。これは寄生虫の跡だが、見た目は悪くてもそのほうが美味しい。
また、甲羅を裏返してみて、腹が薄いピンク色のものを選んだほうが新鮮である。脚がダラリと下がるものは鮮度が落ちている。
食べ方
浅茹で蟹・・・カニは鮮度落ちが非常に早いので、長く持たせるために、沸騰したお湯に入れて30〜40分茹で、直ち
        に冷水で冷す。一方、すぐ食べる浅茹でカニは、一度煮立ちさせてアクが浮かんで来たらすぐ取出し、
        まだミソが固まっていない熱々のところを何もつけないで食べる。どんな蟹料理もかなわない味である。
        このカニは1時間もすると鮮やかな紅色が見る間に青黒くなってしまう。
焼き蟹・・・・・エキス分が身肉に抱込まれ、水ぽさもなく、歯ごたえもよく旨味も抜群。二杯酢よりレモンの方が酸味の
        クエン酸と揮発性の香気成分によって、食酢を使った時より風味が出て美味しい。刺身は寄生虫が多い
        のでご用心を。その他、蟹すき、味噌汁、甲羅酒、蟹弁当や、肝臓である甲羅の内側のミソも美味しい。


           蟹料理 見兼ねて女中 指を貸し    善 吉
           蟹料理 しばらく酌を せずさせず    佑 介
           通ぶって 蟹の甲羅に 酒を注ぎ     如 水 


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