日本の旬・魚のお話

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マナガツオ
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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(夏の魚-3)
鰛(まながつお)
俳句では冬の季語になっているが、漁期は夏である。その中でも、さらに産卵前の身の張って旨いのが、初夏から夏にかけてである。今でも京都では懐石料理に好んで用いられ、高級魚として扱われる。
命名
『本朝食鑑』によれば、江戸では鰹を生で食べることができたが、京都では紀州や伊勢から遠すぎて手に入らなかったので、鰹と同じ漁期のマナガツオを鰹の「生」に学びなぞらえて賞味し、ここから「学鰹」と呼ばれたとある。また『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』には、「似鰹」と書かれている。
一方、「マナ」、つまり真名とは真実や本当という意であるから、マナガツオとは「これこそ本当の堅魚(カツオ)というべき堅い身の魚である」という意味の呼び名でもある。これは身がしまって美味なことからの命名であろう。また、真魚鰹とも書く。
地方名
マナガタ(熊本・長崎)・・・・マナカタナの略称。堅魚の意で、鰹の古名。
チョオキン(岡山) ・・・・・・ 丁銀の転呼。長銀は江戸時代の銀貨の一種で楕円形をしていた。この銀貨とこの魚の体色
                と体形の相似からの呼名。
チョオチョオ(和歌山)・・・・モンシロ蝶に色と形が似ているから。
ギンダイ(富山)・・・・・・・・・銀色をした平たい魚の意。
メンナ(岡山)・・・・・・・・・・・メンは雌、女などの意。また、小さいこと可愛らしいことを意味する方言であるから、可愛らし
                い魚の意味か。

     英名  Butter Fish  中国名  銀鰛
スズキ目マナガツオ科(イボダイ科)マナガツオ属
カツオの名がつくが、サバ科とは縁遠い。日本では、本種とコウライマナガツオ、シナマナガツオの三種類が生息する。
コウライマナガツオとシナマナガツオはマナガツオとよく似ている。前者は、頭部後方にある微細な波状しわの後部が胸ビレ基部上方を超えないことで本種と区別できる。後者は、背ビレや尻ビレの前後がマナガツオほど伸長せず、後縁が鎌状にならないこと、あるいは尾ビレの上、下葉が伸長しないことで区別出来る。
紀伊半島以南や東シナ海、黄海、インド洋に分布し、水深100m以浅に生息する。
形態
銀灰白色の平べったい菱形で、腹ビレの無いのが特徴。白っぽいウロコがあるが小さく、死ぬと剥がれ易いため、流通段階では無鱗と思われている。
新鮮なものは金属のような光沢があり、ウロコのついたものは高級品である。
分布
北海道以南から東シナ海、インド洋、西太平洋の温帯から熱帯地域、日本では南日本の沿岸に近い表層で群をつくって生息する。
漁法と漁場
外洋性で回遊する為、産卵の為に春の終わりに浅海に近寄るところを底引網や定置網、刺網で獲る。
和歌山や高知、瀬戸内海が主たる漁場で、関東地方では馴染みがなく、入荷しても鮮度落ちしたものが多かったことから評価されていなかったが、近年では冷凍にしても味が落ちない事から出回るようになった。
産卵
7〜8月頃が産卵のピークで、水深10〜20mの沿岸浅江の砂泥域で産卵する。
産卵が終わると沖の深部へ戻って行く。卵は球形分離浮性卵で、水温26℃なら一日で孵化する。
成長
肉食で、アミ類を中心に甲殻類や多毛類、サルパ類などを食べて成長する。孵化後、数ヶ月で3cm程度に成長して外海へ旅立ち、全長50〜60cmぐらいまで成長する。メスは体長25cm、オスでは20cm前後で成熟する。
西国に鮭なく、東国にマナガツオなし
和訓栞には、「まながつほ 世諺に西国にサケなく、東国にマナガツホなしといへり」とあり、これは棲息域を示している。また、食文化としても、西では特にマナガツオを美味の代表格として珍重したことを示した言葉であろう。
食べ方
『浮世草子・好色一代男(1682年)』にも、「刺身が食いたい」とあり、鮮度がよければ刺身が一番。照り焼きや幽庵焼き、味噌などの漬け焼き等がある。
また、骨も美味で、マナガツオの骨は軟らかく、中骨を酢につけて「骨なます」にしたり、中骨を乾かして油で揚げ、塩をまぶすと酒の肴に最高。
照り焼きは、西京味噌に漬けたものを焼いてミリンで照りを出したものが、焼き物の中での逸品である。
  幽庵焼き
    近江の浮御堂に住んでいた通人が考案した料理で、醤油、酒、ミリンを混ぜ合わせた漬け汁に浸した後、焼い
    たもの。
  土佐名物
    切身を塩でしめ、白味噌をミリンで適当な軟らかさにといたものに2〜3日漬け、焼いて食べる。漬け過ぎると風
    味が落ちる。


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