日本の旬・魚のお話

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日本の旬・魚のお話
日本の旬   魚のお話(秋の魚-21)
蝦蛄(しゃこ)
産卵期である晩秋が、中身の充実した独特の甘味を持つ時期であり、江戸前鮨には欠かせない素材である。
シャコはあまりきれいでない水域に生息するが、水から上げるとすぐに死んで味が落ちるので、なるべく早く大きな釜で茹で上げるようにする。
                    おほいなる 蝦蛄の鎧の うすみどり           御 舟
命名
江戸時代はシャクナギ(シャクナゲ)と言われていた。淡い灰褐色の殻を茹でると紫褐色に変わり、それがシャクナゲの花の色に似ていたところから付けられた名である。
シャクナゲは石楠花、または石花と書き、シャクカがなまってシャコと呼ばれるようになった。ガザエビ、シャク、シャクナギと呼ぶ地域もある。
      英名 Mantis shrimp (捕脚がカマキリに似ている意)
甲殻網―口脚目―シャコ科
エビ(十脚目)とは「目」のレベルで異なり、味も違う。体長2cmの小型種から、尻太シャコや深海尻太シャコ、トラフシャコのような30cmを超える大型種まで約450種が知られている。
オスは最後の第8胸脚部の付け根に長い生殖脚がある。五対の腹肢にはエラが発達しているので、エビやカ二類のように卵を抱く事は出来ない。
分布
北海道以南に生息する暖海性で、水深1000m以上の深海にすむものもいるが、一般的には浅海の泥底やサンゴ礁に棲息し、特に仙台湾や東京湾、瀬戸内海、姫路、赤穂産などは名高い。
シャコは、餌をほとんど巣穴の中に持ち帰ってから食べる習性があり、食べかすは穴の外に押し出す。隠れ場や餌の食べ場所として、巣穴に対して高度に依存している為、巣穴が掘れない水槽内で飼育すると、殆どのシャコは餌を食べず衰弱死するという几帳面な性質を持っている。
形態
体は偏平で、頭部にカマキリの様な鎌状の大きな捕脚(第二胸脚部)が一対あり、それぞれに6〜7個の荒い鋸歯状のトゲがある。歩脚は第六〜八胸脚部の三対で、腹部には遊泳脚があり、また左右の辺縁に短いトゲを持っている。尾節にも鋭いトゲがある。
産卵
食用となるシャコは、北海道から九州までの各地の内湾の浅海泥底に、尾節の鋭いトゲなどでU字型の巣穴を作って単独生活をし、5〜8月頃に交尾をする。
オスが第一胸脚の先端の毛でメスの体を愛撫し、メスが静かになったところで仰向けにしてその上に乗り、体をX字型に交差させて僅か数秒間の間に交尾を行う。
メスは巣穴の中で仰向けになって産卵を行い、2〜3時間かけて紐状に連なった2〜10万粒の卵を産む。
産卵を終えたメスは起きあがり、卵塊になったものを第三〜五胸脚でグルグル回して直径10cm程の円盤型にし、卵は一層に並ぶ。
メスは卵塊を放り投げたり手繰り寄せたり折りたたんだりして、新鮮な海水にさらす。孵化するまで水温20度で約3時間だが、その間は餌も取らずに守り続け、熱心な卵の世話をする。
成長
孵化した体長2mmほど幼生は巣穴から出て来ず、2回脱皮してから巣立ちをする。秋近くに17mmほどの稚シャコになり、海底生活を始める。
翌年の春に7cm、さらにその翌年には10cmになり、夏に1回目の産卵を行う。3才になると体長は13〜15cmになり、2回目の産卵を行って冬に一生を終える。
漁法
底引網。何回か網を入れて海底を掻き混ぜ、シャコのすむ穴を埋めてしまう。するとシャコは苦しがって這い出してくるので、そこを網ですくう。
生きているうちにすぐ茹でないと、身が溶けて殻だけになってしまい、食べるところがなくなる。これは、シャコなどの甲殻類は一生のうちに何度も脱皮するので、自分の身を消化する自己消化酵素を多く含んでおり、死ぬとじきに身が消化されてしまう為。
恐ろしき狩人
餌を捕らえる為の捕脚には2つのタイプがある。1つは指節に鋭いトゲが並んだもので、その多くは浅海の泥底にすみ、巣穴近くを通るエビやカ二、小魚をすくい取るように瞬間的に捕らえる。また貝やカ二に対しては「肘打ち」をくらわせることもある。
もう一方は、指節の基部が分厚く膨らんでいる大指シャコ型で、サンゴ礁に多くすみ、貝やカ二、ヤドカリなどを一撃して打ち砕く恐ろしき狩人である。
月夜には身が減り、闇夜には身が入る
夜になるとエサを求めて行動するが、暗がりが得意と見えて、明るさによってエサが捕らえられたり、捕らえられなかったりするようである。
シャコの爪
シャコが持つ、カマキリの鎌に似た大きな捕脚であるハサミの身肉のことで、大きさは米粒よりやや大きい程度。それも一匹から二個しか取れないから、小皿に一杯分ともなればシャコ何十匹にもなる。カ二のはさみの肉に似ており、酢の物やサラダに向いているが、ワサビ醤油でも酒の肴として絶好である。
カツブシ入り
身内の中央部に棒状に入っている卵のことをカツブシと呼ぶ。色は朱色である。このカツブシ入りの頃が旬でもある。
食べ方
シャコを食うのは日本人とイタリア人だけだそうだ。
水1リットルに対し塩を小サジ2杯の割合で入れた塩水に生きたシャコを入れ、アク取りしながら10〜15分間塩茹で、ザルに上げて自然にさます。
殻を剥ぐには、まず頭を取除いてハサミで鋏や脇腹の殻、脚を切り落とす。背中の殻は頭から、腹皮は尾から頭に向かって剥いでいくようにするのがコツ。
殻を剥ぐと、表面が暗紫色に彩られた白い身が出てくる。寿司だねや天ぷら、酢の物、みそ和え等で味わうのも楽しい。また、殻ごと酒又はみりんと醤油、砂糖で甘辛く炊く「具足煮」も良いが、食べにくいのが難点。


               蝦蛄の尾の するどき扇 ひらきけり        御 舟
               先生の 馬に似し歯や 蝦蛄を食う          神寺洞


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